Friday, June 4, 2010

幼年期発達プログラム(Early Childhood Development Program)とは

「幼年期」とは、生後から小学校就学前の6-8歳未満までの期間を指すと考えられる。「受胎期もしくは、出生から初等教育就学前」までの乳幼児の最善で全人的な発達、すなわち身体的、知的、社会的、情緒的発達を包括的に促すために、乳幼児やその保護者に対して行う教育、健康、衛生、栄養などの複数のセクターにわたるケアと教育活動」はEarly Childhood Development(ECD)を指している。
 幼児に対する教育活動やケアを指す日本語としては、「幼児教育」、「保育」、「就学前教育」、「早期教育」などがある。一方、英語の用語としては、0歳から3歳までの乳児のためのケアには、「Child Care Centers」、「Kindergarten」、「Day Care Centre」などの用語を使用することがある。また、3歳から6-8未満の幼児のためには、「Pre-Primary Education」、「Kindergarten」、「Early Childhood Education」などを使うことが多い。
 基本的原則によっては、幼年期に受けさせるすべての教育には、Early Childhood Education (ECE)と説明されている。「ECEは出生から8歳までの教育である。ECEプログラムには、幼児教育と初等教育の低学年までの教育を指す。所によって、6歳以下の子どものため教育と説明することもある 」。しかし、今日でも、ECEプログラムを3歳以上の幼児のための教育と捉えている組織が多い。ECDプログラには、ケアと教育としては大きく二つに区分することができる。一般的には、0歳から3歳未満の乳児のために「保育」を行い、3歳以上からの子どもたちのためには、小学校就学前の準備教育として、「教育」を行うことがある。
 乳児ケアは、乳児に関する身体的成長のみならず、知能や情緒、社会的能力の向上も含有したケアを行うことや幼い子どもを抱えた母親の就労支援を主目的とした「保護的ケア」の意味で使われる。そのため、「ケア」では子どもの保護や健康・栄養改善を中心に活動し、知的刺激や教育活動を重視しないことが多い。
 ECEプログラムを受ける年齢によって、①3歳―6歳までの子どものための教育と②6歳未満のすべての子どもたちのための教育として二つのプログラムに区分することができる。しかし、3歳―6歳までの子どもたちのための教育―就学前教育(pre-primary education)として説明されることが多いECEプログラムには、「就学前教育」、「幼児教育」の同義語として扱われる場合があるものの、一般的に小学校入学前の準備教育という側面をより意識して用いられる。就学前教育は、広義では乳幼児を対象に家庭の外で組織的に行われる教育すべてを指すものである。

ECDの効果を一言で表すとすれば、それは「ECDの普及が人間発達の推進につながる」という点に集約される。
ECDの直接的効果としては、①子どもの身体的、知的、社会的、情緒的な発達、②家庭や地域との連帯強化、③保護者の就労支援や子どもの保護④子どもの権利保障などである。これらは最終的に「学校環境での学習に対する素地」、いわゆる「就学素地の涵養」という二つの大きな効果となって表象する。
一方、ECDの長期的効果としては、①学校面に与える効果、②地域社会や国家に与える効果である。
① 教育面では、小・中・高校での留年や中途退学の減少、学習結果の向上、就学年数の増加、身体的・精神的健全な発達、教育に対する保護者の意識向上、収入の向上が達成されると考えている。
② ECD普及が地域社会や国家に与える意義については、社会セクターの充実、効率の向上、公正の実現、経済成長の促進、子どもと女性の権利の保障である。社会セクターの充実としては、ECDの普及が初等教育の完全普及や社会関係資本の構築、さらには健康的社会づくりにも寄与することに言及した。また、ECDの普及は留年・中途退学の減少や健康増進を通して、ECD自体も子どもの発達に多面的に働きかけることによって効果を倍増させ、社会的投資の効率を上げることできると考えている。

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