Saturday, November 27, 2010

ネパールのECD プログラムに関する政策

ネパールの幼児教育(ECD)発達に対しての政策が国家の国家教育発達政策(National Education Development Policy以下は、NPO[1])に認められたのは、7次5カ年計画(1985年-1990年)からである。国家が幼児発達・幼児教育に対して認めた政策は以下の通りになる。

7次5カ年発達計画(1985年-1990年)

7次5カ年発達計画に初めてECDECEについての政策、プログラム内容が認められる。当時ECEの第一の目的は、小学校1年の留年率を減らすことであった[2]。子どもの保障について国家政策には、「今日の子どもたちが良い幼年期発達を遂げれば、未来により良い市民になることができ、国を守ることができる」「良い環境で良い子育てをするため、子どもたちの食事、健康、栄養 、教育 ,経済サービスをするべき[3]」ということが挙げられていた。子どもをより良い人間に育てることは、親だけの責任ではなく、国家、地域社会の責任にもなる。また、ECDECEプログラムの「長期持続性」のため、「地域参加」も必要だ[4]と挙げていた。

第次第8次5カ年計画(1992-1997年)

第次第8次5カ年計画では、未来の有能な市民を育成作るため、今の子どもに良い環境で、良い方法で、良い教育を受けさせて育てることは必要である。そのため、政府が、今の幼児の良い発達のために様々な国内福祉機関、国際機関や地域住民と協力しECEプログラムを実施して行く[5]ことが書かれている。国の法律で保障することによって8次5カ年計画でも子どもの発達に関する政策を作っていた[6]

9次5カ年計画(1997-2002)

国家の第9次5カ年計画には、都市部に私立学校やNGOs, INGOs援助があったため、政府が都市部に対するそれまでの援助を減らし、郡部地域の方は幼年期発達プログラムの発展のため援助を増やすことにした。また、幼児教育・幼児発達の概念とその必要性を家庭と地域に教えるため、ラジオとテレビで幼年期発達に対してのプログラムを放送し始めた。この政策によって、子どもの権利を知らせるため、NGOsが親の教育を始めた。

10カ年計画(Ten Year National Plan of Action NPA

次に1990年代に子どもたちの発達に対しての「計画10カ年計画」は1992年に発表された。この10カ年計画は、1990年に行った「World Summit for Children(1990)」の「宣言書」による、子どもの生きる権利、保護を受ける権利と発達に基づいて作られたものである。National Plan for Action (以下はNPA)にも7次5カ年計画と8次5カ年計画と同じく幼児・幼児教育のより良い発達のため家庭や地域参加は必要と述べている。NPAは健康、栄養、教育、公衆衛生を整備する四つの目的を持ち、また、教育の分野には、就学前教育(ECEpre- primary education)も含めた基礎教育も受けさせることを目標としていた[7]

第10次5カ年計画(2002-2007)

第10次5カ年計画には、ECDの中心は、子どものより良い発達と就学のための準備として小学校に入学前の教育を受けさせることだった。この政策では、教員、ヘルパーのため研修と親・保護者のためのアオーネスプログラム「Awareness Program for Parentsを含めた親・保護者のための育を行うことにした。識字率もなく、教育の必要性も分らない家庭が、子どもの教育にあまりにも努力しない状況を検討し、まずは、家庭・親のための教育が重要であると考え実施されたものである。2004年度からは、幼児のECEプログラムへの登校を増加するには、このプログラムの効果ではないかと考えられる。

⑥ Education for All: Plan of Action(1992-2000)

Education for All: Plan of Action(以下はPOA)においては、多民族国家であり、多言語が用いられているネパールでは、最初に彼らの言葉で教え始め、その後少しずつ一般のネパール語を教え始めるということが述べれれている。ECEに対しては、地域の要求によって就学前教育センターを設立すること、カリキュラムを作って教えること、就学前教育と初等教育も連携させること、施設訪問して施設方向とそれのうえで評価、施設を設立するための地域参加、地域の女性を教員に選ぶこと、地域にある物を使い教材を作り支出を減らすこと、幼児に遊びながら教えることとマスメデイアを通してECEの必要性と情報を知らせることを行っていくことが示されている。

Education for All( Core Document (2004-2009) )

国家の恵まれない状態(Disadvantaged Situationに対しての政策について書かれており、National Planning Commission(NPC)[8]によって、D C 郡にランクされている、地域に教育省からの援助を増やしECDECEプログラムを行っていくこととしている。この政策によって、Disadvantaged Groupの子どもたちもECEプログラム受けることができた。また、母親も、勤めることができ、収入も増え、経済達成にも役に立ったものである


[1] National Education commission, HMG of Nepal, 1994)

[2] National Planning Commission, HMG of Nepal and UNICEF, 1992,P.63)

[3] National Planning Commission, HMG of Nepal, 1985, p. 287

[4] National Planning Commission, HMG of Nepal,1992,)

[5] National Planning Commission, HMG of Nepal,1992,p128)

[6] Constitution of the Nepal(1990)Article 26(8) , Ministry of Law ,justice and parliamentary affairs, HMG of Nepal, 1992,p. 18

[7] National Planning Commission, HMG of Nepal, 1992

[8] National Planning Commission(NPC)の調査によって、発展できている、地域は「A」、やや発展できている地域は「B」とあまりにも発展できてない地域を「C」と「D」としてランクされる。それによって、未発展である「C」と「D」地域の発展のため、政策作りことや発展活動を含めた、「発展改革」を発行することになる。

Sunday, November 21, 2010

ネパールにおける幼年期発達プログラム(ECDP)概念と課題

ネパールでは、今でも、幼年期に対するケアと教育が分けられず、ECD用語が用いられている。ECDは、幼年期ケア(Early Childhood CareECC)と就学前教育(Early Childhood Education)として、大きく二つ区分することができる。ECCプログラムには、デイケアセンター、チャイルドケアセンターなどの用語が使われ、ECEプログラムには、Nursery, Kindergarten, Pre-school and Pre-primary schools用語が使われている。基本的には、幼年期ケアプログラムは、3歳未満の乳児のためであり、ECEプログラムは、3歳から5歳まで(初等学校就学する前)の子どもたちに受けさせる教育である。対象年齢やプログラム内容により、ECDにも様々な用語を用いられている。例えば、ECD,ECCE,ECE,ECCである。しかし、近年ECDECEや就学前教育プログラム(pre-primary education)と用語することが多い。現在、ネパールでは、以下のECDプログラムが実施されている。

学校主体幼年期プログラム(School-Based Early Childhood Development Program)

共同主体幼年期プログラム(Community-Based Early Childhood Development Program)

1 学校主体の幼年期発達プログラム

学校主体の就学前プログラムは、3歳-5歳の子どもたちを対象とし、子どもの豊かな発達と初等教育の準備をするために、行われているプログラムと説明されている。近年から、すべての幼児に、ECEを受けさせる目標を掲げ、教育省が地域及び他の組織と協力し、ECDECEプログラムに努力している。現在、教育省が、あまりにも教育発展ができていない郡部や最も恵まれないグループ(Disadvantaged GroupDAG)の割合が高い地域を中心に、ECEプログラムに関する活動を行っている。一方、都市部では、ECEプログラムは、初等教育の学校施設において行われており、就学前教育及び幼稚園(Kindergarten)という用語を使用している。私立学校においては、具体的には、NurseryLKGUKGの三つのクラス[1]に分かれて、制度的には、三年制として行われている。私立学校で行われているECEプログラムは、比較的に授業料は高いため、経済的不安がある家庭の子どもや郡部で暮らしている住民の子どもたちが、私立学校で行われているECEプログラムを受けることができていないのが現状である。

これらの私立学校は、PABSON[2]協会の政策と方針によって運営されている。したがって、学校主体の就学前クラスも、PABSON協会によって、採択され、各私立学校にて行われるようになった。さらに、PABSON協会によって教育省のカリキュラム開発センターに、ECDプログラムを実践するための具体的な全国統一カリキュラムが提案された。それを受けて教育省のECDセクションからECDカリキュラムを再検討し、1997年から全国的に実施されるようになった。このカリキュラムは子どもの全人的発達を目的とし、精神的、社会的、情緒的発達を促す楽しい学習環境をつくることを目指している。

2 共同主体の幼年期発達プログラム

現在適用されている共同主体の幼年期プログラムは、教育省によるBPEP(II)[3]プロジェクト政策が成立したものである。このことによって、ECDプログラムのための施設設立時には、備品や遊具、教具などに加えて、資金援助などを教育省が援助行うことになる。このBPEPプロジェクトによるECDプログラムは、4歳未満の子どもたちを対象にして行われプログラムである。しかし、実態に合わせて、4歳-5歳年齢の子どもたちに、就学準備のための教育も受けさせることができるものである。

共同主体のECDプログラムにおいては、子どもの全体発達を目的とし、子どもの精神的、社会的、情緒的発達を促す楽しい学習環境創造することを目指している。そのため、子どもの全人的発達を焦点とした、カリキュラムが実施されている。

以前は、共同主体のECDセンター設立時にはBPEP(I)プロジェクトの政策が適用され、教職員のための研修や基本的には教材だけを無償提供し、ECDセンター設立後の責任はコミュニティへ移行する政策があった。その後の教職員の手当て、教材費, 運営資金などはコミュニティーが負担することになっていた。この政策のもとでは期待された結果が出なかった。すなわち、ECDセンターの数が減ってきたことにより、教育省が、BPEP(II)プロジェクトにおいては、教員の給料およびECDセンターの支出金も1/4から1/2を負担することになった[4]


[1]Nursery, Lower Kindergarten LKG),Upper Kindergarten(UKG)

[2] PABSON Private and Boarding School Organization of Nepal

[3] BPEP- Basic and Primary Education Program(1997-2002)

[4] Critical issue for ECDC UNESCO 2006

ネパールにおけるEarly Childhood Development Program)の発展

ネパールにおいて初めての幼年期の施設として設立されたのは「ECE Schoolと呼ばれるプログラムで、1950年にできた「Montessori School」がそれにあたる。次に、1962年に「国家子ども福祉組織」(Nepal Children`s Organization以下は NCO)が設立されたことによって、ECEプログラムが着目されるようになった。当時NCOは一つの地区本部(District Headquarters )に少なくとも、一つのECEセンターが設立されたのであるしかし、ほとんどの、ECD施設は、地区本部地域に設立されていたため、公務員の子どもたちだけがECEを受けることでき、郡部までは、その施設恩恵は全く届いていなかった

60年代・70年代においても、ECE施設は都市部に少数あるのみで、郡部にはほとんどなかったようである。1980年代の後半から90年代にかけては、急激にECDプログラムによる学校が都市部に増えた。郡部では、「Production Credit for Rural Women(PCRW) プロジェクトと「Small Farmers Development Project(SFDP)」を実施することによって、父母も仕事に行けるように、子どもたちの面倒を見る機関としてECE施設を設立することになった。80年代、90年代には国連機関と私立機関ECEプログラムに大きく貢献していた。ネパールでは、ECD概念は1985年以降、急激に発展したものである。また、国連機関の「Education for All以下はEFA宣言ECDプログラムは、第一の目標とされたことによりECE概念はより発展したものである。

1999に教育部門(Department Of Educationもとで幼年期発展セクション(以下ECDSが設立された。次に、政府が、2005年に、「国家幼年期発達委員会以下、NECDSが設立した。メンバーの構成は、教育省を中心に厚生省、地方発展省、女性・子ども・社会福祉省、国連機関やNGOなど幅広い構成であった。

ネパールにおいては、ECEへの登校は、2004年度から開始されたユネスコ他によるECCEプログラムにより、幼児の登園率・登校率が上昇しているのが見られる。では、近年なってからのEECEの状況特に、ECE施設の数、登園及び登校率、ECE受けてから小学校に入学しているかを表3.1の通りに示した。

ECE施設の数、登園率、ECE経験がある幼児の小学校への入学の変化

指標

2001年度

2002年度

2003年度

2004年度

2005年度

2006年度

2007年度

2008年度

ECD施設数

NA

NA

NA

NA

13026

11012

19936

23659

登校率(%)

13

19.8

19.9

39.4

69.9[1]

41.4

60.2

63.4

ECD経験がある子どもたちの、小学校への入学率(%)

8

9.6

13.7

10.9

NA

18.1

33.1

36.2

出所:Educational for All Global Monitoring Report 2003/4,2005,2006,2007

Flash Report 2008年度(教育省)

ネパールのECD、初等教育及び識字率をあげるためEFAは以下の通りの目標を持っている。

ECDの発展のため、EFAが表3.2の通りの目標を持っている

指標

2002

2005

2007

2012

2015

ECDへの登校率(%)

13

20

32

60

80

ECD経験がある幼児の初等教育への入学率()

10.5

30

40

65

80

初等教育の入学率

84.4

88

90

95

100

識字率(6歳から15歳のため)

54

65

75

85

90

識字率(15歳以上のため)

48

58

63

70

75

Targets by Core EFA indicators (EFA 2015)


[1] この年では、初等学校の就学未満の子どもたちの登校もECDの登校率に含めたものである。