Sunday, November 21, 2010

ネパールにおける幼年期発達プログラム(ECDP)概念と課題

ネパールでは、今でも、幼年期に対するケアと教育が分けられず、ECD用語が用いられている。ECDは、幼年期ケア(Early Childhood CareECC)と就学前教育(Early Childhood Education)として、大きく二つ区分することができる。ECCプログラムには、デイケアセンター、チャイルドケアセンターなどの用語が使われ、ECEプログラムには、Nursery, Kindergarten, Pre-school and Pre-primary schools用語が使われている。基本的には、幼年期ケアプログラムは、3歳未満の乳児のためであり、ECEプログラムは、3歳から5歳まで(初等学校就学する前)の子どもたちに受けさせる教育である。対象年齢やプログラム内容により、ECDにも様々な用語を用いられている。例えば、ECD,ECCE,ECE,ECCである。しかし、近年ECDECEや就学前教育プログラム(pre-primary education)と用語することが多い。現在、ネパールでは、以下のECDプログラムが実施されている。

学校主体幼年期プログラム(School-Based Early Childhood Development Program)

共同主体幼年期プログラム(Community-Based Early Childhood Development Program)

1 学校主体の幼年期発達プログラム

学校主体の就学前プログラムは、3歳-5歳の子どもたちを対象とし、子どもの豊かな発達と初等教育の準備をするために、行われているプログラムと説明されている。近年から、すべての幼児に、ECEを受けさせる目標を掲げ、教育省が地域及び他の組織と協力し、ECDECEプログラムに努力している。現在、教育省が、あまりにも教育発展ができていない郡部や最も恵まれないグループ(Disadvantaged GroupDAG)の割合が高い地域を中心に、ECEプログラムに関する活動を行っている。一方、都市部では、ECEプログラムは、初等教育の学校施設において行われており、就学前教育及び幼稚園(Kindergarten)という用語を使用している。私立学校においては、具体的には、NurseryLKGUKGの三つのクラス[1]に分かれて、制度的には、三年制として行われている。私立学校で行われているECEプログラムは、比較的に授業料は高いため、経済的不安がある家庭の子どもや郡部で暮らしている住民の子どもたちが、私立学校で行われているECEプログラムを受けることができていないのが現状である。

これらの私立学校は、PABSON[2]協会の政策と方針によって運営されている。したがって、学校主体の就学前クラスも、PABSON協会によって、採択され、各私立学校にて行われるようになった。さらに、PABSON協会によって教育省のカリキュラム開発センターに、ECDプログラムを実践するための具体的な全国統一カリキュラムが提案された。それを受けて教育省のECDセクションからECDカリキュラムを再検討し、1997年から全国的に実施されるようになった。このカリキュラムは子どもの全人的発達を目的とし、精神的、社会的、情緒的発達を促す楽しい学習環境をつくることを目指している。

2 共同主体の幼年期発達プログラム

現在適用されている共同主体の幼年期プログラムは、教育省によるBPEP(II)[3]プロジェクト政策が成立したものである。このことによって、ECDプログラムのための施設設立時には、備品や遊具、教具などに加えて、資金援助などを教育省が援助行うことになる。このBPEPプロジェクトによるECDプログラムは、4歳未満の子どもたちを対象にして行われプログラムである。しかし、実態に合わせて、4歳-5歳年齢の子どもたちに、就学準備のための教育も受けさせることができるものである。

共同主体のECDプログラムにおいては、子どもの全体発達を目的とし、子どもの精神的、社会的、情緒的発達を促す楽しい学習環境創造することを目指している。そのため、子どもの全人的発達を焦点とした、カリキュラムが実施されている。

以前は、共同主体のECDセンター設立時にはBPEP(I)プロジェクトの政策が適用され、教職員のための研修や基本的には教材だけを無償提供し、ECDセンター設立後の責任はコミュニティへ移行する政策があった。その後の教職員の手当て、教材費, 運営資金などはコミュニティーが負担することになっていた。この政策のもとでは期待された結果が出なかった。すなわち、ECDセンターの数が減ってきたことにより、教育省が、BPEP(II)プロジェクトにおいては、教員の給料およびECDセンターの支出金も1/4から1/2を負担することになった[4]


[1]Nursery, Lower Kindergarten LKG),Upper Kindergarten(UKG)

[2] PABSON Private and Boarding School Organization of Nepal

[3] BPEP- Basic and Primary Education Program(1997-2002)

[4] Critical issue for ECDC UNESCO 2006

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