ネパールにおいて初めての幼年期の施設として設立されたのは「ECE Schoolと呼ばれるプログラムで、1950年にできた「Montessori School」がそれにあたる。次に、1962年に「国家子ども福祉組織」(Nepal Children`s Organization以下は NCO)が設立されたことによって、ECEプログラムが着目されるようになった。当時NCOは一つの地区本部(District Headquarters )に少なくとも、一つのECEセンターが設立されたのである。しかし、ほとんどの、ECD施設は、地区本部の地域に設立されていたため、公務員の子どもたちだけがECEを受けることでき、郡部までは、その施設恩恵は全く届いていなかった。
60年代・70年代においても、ECE施設は都市部に少数あるのみで、郡部にはほとんどなかったようである。1980年代の後半から90年代にかけては、急激にECDプログラムによる学校が都市部に増えた。郡部では、「Production Credit for Rural Women(PCRW) 」プロジェクトと「Small Farmers Development Project(SFDP)」を実施することによって、父母も仕事に行けるように、子どもたちの面倒を見る機関としてECE施設を設立することになった。80年代、90年代には国連機関と私立機関がECEプログラムに大きく貢献していた。ネパールでは、ECD概念は1985年以降、急激に発展したものである。また、国連機関の「Education for All以下はEFA宣言」でECDプログラムは、第一の目標とされたことによりECE概念はより発展したものである。
1999年に教育部門(Department Of Education)のもとで幼年期発展セクション(以下ECDS)が設立された。次に、政府が、2005年に、「国家幼年期発達委員会以下、NECDS」が設立した。メンバーの構成は、教育省を中心に厚生省、地方発展省、女性・子ども・社会福祉省、国連機関やNGOなど幅広い構成であった。
ネパールにおいては、ECEへの登校は、2004年度から開始されたユネスコ他によるECCEプログラムにより、幼児の登園率・登校率が上昇しているのが見られる。では、近年になってからのEECEの状況、特に、ECE施設の数、登園及び登校率、ECEを受けてから小学校に入学しているかを表3.1の通りに示した。
ECE施設の数、登園率、ECE経験がある幼児の小学校への入学の変化
指標 | 2001年度 | 2002年度 | 2003年度 | 2004年度 | 2005年度 | 2006年度 | 2007年度 | 2008年度 |
ECD施設数 | NA | NA | NA
| NA | 13、026 | 11、012 | 19、936 | 23、659 |
登校率(%) | 13 | 19.8 | 19.9 | 39.4 | 69.9[1] | 41.4 | 60.2 | 63.4 |
ECD経験がある子どもたちの、小学校への入学率(%) | 8 | 9.6 | 13.7 | 10.9 | NA | 18.1 | 33.1 | 36.2 |
出所:Educational for All Global Monitoring Report 2003/4,2005,2006,2007
Flash Report 2008年度(教育省)
② ネパールのECD、初等教育及び識字率をあげるためEFAは以下の通りの目標を持っている。
ECDの発展のため、EFAが表3.2の通りの目標を持っている
指標 | 2002 | 2005 | 2007 | 2012 | 2015 |
ECDへの登校率(%) | 13 | 20 | 32 | 60 | 80 |
ECD経験がある幼児の初等教育への入学率(%) | 10.5 | 30 | 40 | 65 | 80 |
初等教育の入学率 | 84.4 | 88 | 90 | 95 | 100 |
識字率(6歳から15歳のため) | 54 | 65 | 75 | 85 | 90 |
識字率(15歳以上のため) | 48 | 58 | 63 | 70 | 75 |
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